わかれあげまん
「やぁ!先輩、待ってってばっ…だ、誰かっ」
組み伏せられたまま力任せに体を捩って、抜け出そうと試みるけれど。
「無駄無駄…叫んでももう、外(フロア)には誰も居ないよ。…」
「エッ!?」
信じがたいその一言に、柚の背筋が一瞬にして冷えてゆく。
相変わらずの不敵で甘い眼差しにさえ射止められ、視線すら動きを封じられてしまい。
「言ってンじゃん。俺の気持ち…カラダで感じて、って。」
「っっ!」
ひきつるように息を吸い込んだ柚の唇をまたキスで塞いだ渡良瀬。
そして。
「…!!!!」
勢いよく分け入られる感覚に、息が止まる。
う、そ …。
茫然と柚は瞳を見開き渡良瀬の肩越しに天井を見た。