わかれあげまん



しかしその時。


向かいのソファ席から、いきなり誰かがガバッと起き上がる気配がした。


「…ひ!?」


飛び上がるように驚愕し、柚はどんぐり眼をひん剥くように、そっちをみた。


暗い視界に微かに、人の輪郭が浮かび上がっている。


こっちをみて固まってるようだ。



「…誰!?」


柚が怯えた声で叫んだら。



「…、…あんたか?」


頓狂に歪めた声でそう返してきたのは、


藤宮哉汰のものだった。





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