わかれあげまん



「泣い…てたの!?」


漆黒の空間の、哉汰がいるらしき数十センチ前方をじいっと凝視しながら、柚が恐る恐る訪ねると。


「これから一人で泣こうと思ってたのに、あんたに邪魔された。」


「いぃいっ!?う、うそ、マジで?…ごめ…っ」

間に受けてソファに仰け反りおろおろと謝る柚を、哉汰はケタケタと喉を鳴らして笑った。


「ジョーダンだよ。…寝ようとしてただけ。」






寝る?ここで?

下宿じゃなくて?


自分の深刻な出来事などもうすっかり彼方に置き去りにし、柚の頭にはクエスチョンマークが踊った。


「まあ、邪魔が入ったのはお互い様だな。」


「う、…うん。…ごめん、なさい」


疑問はひとつも解決できなかったが、一人になりたかった哉汰の邪魔をしたことだけは間違いなさそうだ。


柚はしょげたようにまた小声で、


「ほんと、ごめんなさい…。あたし、なんか藤宮くんの邪魔ばっかりしてる…よね」


「…」


沈黙が重たかった。


元々明るい気持ちでなかった柚も、ずーんとますます沈んだ気分になって、また泣きそうになってくる。



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