わかれあげまん
これはもう、絆創膏とかコンシーラーで誤魔化せるってレベルじゃない…
「こんな姿で・・・子供の前になんて立てないよお…」
蒼白な顔をガックリ垂れ途方に暮れている柚に。
「今日は休めば?ガキ相手なら俺ひとりでもできるし。」
「…やだ。バイト料減ったら暮らしていけないもん…」
ムムムと眉間に皺を寄せ意固地に言う柚を、哉汰はクスリと笑った。
「・・・」
それから少し走行して次の信号待ちになった時。
哉汰はごそごそとダッシュボードの下辺りを探り、取り出した何かを柚に放った。
「!」
グレーとブラックのツートーンのネックウォーマーだった。
「今が冬でよかったな。ソレ付けてても不自然じゃないだろ。」
軽い感激に、柚はまた驚き顔で哉汰を見る。
この人って、ホントになんでこんなに機転が利くんだろう。
「…なんか。…ほんとにありがとね・・・?」
「…どういたしまして。」
何よりも。
何も聞かないでいてくれる哉汰の優しさに、柚は一番感動していた。