わかれあげまん
あははは!と柚はベッドの上を笑い転げた。
「な、何言ってんのぉ?ありえないよ~、美也子」
『なんで?今は藤宮くんがあんたに一番近い男なんでしょ?』
不満そうに言う美也子。
『あんただって、縁感じるとか言ってたじゃん!?気になってんでしょ?』
「あ、アレはほら、なーんか偶然居合わせてお世話になっちゃっただけで。ちょっと変わってて面白い人で、バイトも一緒だし話す機会もちょっと多いってだけ!だから!」
ガバッと立て直した身体を正座させ、咳払いをしてから、更に改まって声を張る。
「だ、第一、藤宮くんにはめちゃくちゃ美人のカノジョがいるんだよ?美也子だって知ってんじゃん!」
『…』
ルチアを優しく抱きしめる哉汰の、あの甘く優しい表情を思い巡らし、柚はきゅっと唇を噛んだ。
「そんな超好青年な藤宮くんの、真っ当なシアワセをさ。これ以上、あたしのいざこざで邪魔するわけにはいかな…」
力説しにかかる柚の言葉を割って、面白そうな潜め声で美也子が言った。
『それがさぁ。…どーも、そーでもないみたいなのよね~。』