わかれあげまん
* * *
「カナタぁ、まだあ?」
途切れなくシャワーの音がするバスルームの扉の前で、ルチアが苛立ち気味に呼びかけていた。
「…」
「もー、昨夜からずーと連絡とれないしー!待ってばっかり、もうやだあ。」
哉汰は顔を顰め短く息を吐き、シャワーコックを閉じた。
「…あ♪終わったあ?じゃ、早くう♪」
上機嫌な声音に変わったルチアがパタパタとベッドのリビングの方へ走り去ったのを感じ、哉汰はずぶ濡れのまま力なくうな垂れた。
気まずいまま離れていた時間が、よほどもどかしかったのだろうか。
それとも俺の気持ちが昨夜とさほど切り替わってないのを感じて焦っているのか。
どっちにしても、今夜はもう勘弁してほしいんだが。
…