わかれあげまん






『もう終わりにしよう。』


今すぐこの場でそう彼女に告げることが、苦しめなくて済む最善の方法だと分かっているのに。


離れていく俺を感じていて、それでもなお懸命にすがることをやめないルゥを、

振り切ることができない。


…情けねぇ。




『ルゥが頼れるのは、カナタだけ。』


日本に来て間もない彼女と出逢った日。


心細げにそう囁いた声は未だに耳を離れない。


同情?

親切心?


呼び方なんてどっちだっていい。




やっぱり俺たちは、

始まりから間違ってたのかもしれない。



悲しいけど今はそれを痛感してるんだ。











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