わかれあげまん
……柚が戻している間、彼は大きな掌で彼女の背中をさすってくれた。
力強く、だけど優しく。
何たる醜態……
どこの誰とも分かんない人に、ゲロゲロ見せちゃうなんて……
あたしはなんて愚かで、
惨めなんだろう……
激しい嘔吐と情けなさとから、柚は吐瀉物を便器にぶちまけながら涙が止まらなかった。
かなりの量を吐き出してしまって、ようやく嘔吐感は収束した。
「……収まった?」
背中を撫で摩りながら彼が聞いてきた。
「ハイ……すいません……」
消え入るような返答はガラガラに荒れていた。
昨夜の酒と、この嘔吐のせいだ。