わかれあげまん
「ホントすいません、もう大丈夫だから」
ほっといて下さい。的空気を醸し出しつつ感謝を述べながら、柚はようやく顔を上げて彼を見た。
アッシュブラウンのさらさらショートミディアムヘア。
眉根を寄せ目を合わせてくるその顔立ちは、派手じゃないのに、何だかやたら整っていた。
げっ。美形。
最悪だ。
と柚はゲンナリなった。
頭痛がハンパなくこめかみを脈打たせてきた。
「顔真っ白だぞ。二日酔い?」
「はあ…」
「とりあえずこっちで口ゆすいだら?」
ん。と頷いて、柚はまたその美形な男にエスコートされ手洗い場へと連れて行かれた。
と、なんとそこに小便器が並んでる。
もしかしなくてもここは男性トイレだった。
「うぁ」
それを認識した柚の悲愴感に拍車が掛かった。
まさか男性トイレで吐くなんて。しかも全く面識のないこんなイケメンに介抱されながら。
あたし、いつ立ち直れるかな。