わかれあげまん




でも、…。


思えばあの夜たしかに、藤宮くんも何だか凹んでるみたいだったし。


もしかしたらあの時もルチアちゃんの事で悩んでたりしたのかな。


ああ、だとしたらあたしってばなんてダメな女なんだろ。


自分の事に一杯一杯で、何の配慮もしてあげられないどころか、逆に年下の藤宮くんにあんな迷惑かけちゃって。


だーっ、


と両手で頭を抱え込みのたうちまわってる柚に、ルームメイト達が面白そうに声をかける。


「おやおや~?柚。珍しく制作行き詰まってたりする?」


「え?う、いやあの…」


ホントは自分に行き詰まってたりするんだよね。


と、苦笑い。



「久々だもんね、柚が制作室来たの。」


「そ、そーだっけ?」


うん、と、隣にイーゼルを立て陣取っているルームメイトが頷きニンマリ笑う。


「ねえねえ。あんたがここに現れない間さ、VDの渡良瀬先輩が何回も覗きに来たよ?」




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