わかれあげまん
と、まさに唇どうしが触れ合うかというタイミングで、誰かの肩がぐいと二人の間に割って入り、柚の身体は自然にその人の背に庇われるように後ろへ下がる。
その広い背中を見上げた柚が息を飲んだ。
「…は?…ちょ。」
引きつり笑いをした渡良瀬が怒気を帯びた声で呻いた。
「何のつもりだよお前。」
「どうも。渡良瀬さん」
冷静な声で答えたのは。・・・
「…お前に邪魔されるのはこれで二度目だよな?」
「ああ。ですね。」
そうしれっと答え不敵に笑んだ哉汰に、渡良瀬は苛立ちを募らせる。
「あのな藤宮。今見てたんだろ?俺、彼女にチューするとこだったの。何割り込んでんの?嫉妬?もしくは俺にチューしてほしいわけ?」