わかれあげまん




と、まさに唇どうしが触れ合うかというタイミングで、誰かの肩がぐいと二人の間に割って入り、柚の身体は自然にその人の背に庇われるように後ろへ下がる。


その広い背中を見上げた柚が息を飲んだ。


「…は?…ちょ。」


引きつり笑いをした渡良瀬が怒気を帯びた声で呻いた。


「何のつもりだよお前。」


「どうも。渡良瀬さん」


冷静な声で答えたのは。・・・





「…お前に邪魔されるのはこれで二度目だよな?」


「ああ。ですね。」

そうしれっと答え不敵に笑んだ哉汰に、渡良瀬は苛立ちを募らせる。


「あのな藤宮。今見てたんだろ?俺、彼女にチューするとこだったの。何割り込んでんの?嫉妬?もしくは俺にチューしてほしいわけ?」



< 205 / 383 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop