わかれあげまん




ところが。


「っ…////」


ギョッと目を剥いたあと、茹蛸のようになった顔を顰めるまでは想像通りだったのだが。


また泣き出しそうな顔で俯き、しばらく何かを考えていた柚が、やがてポツンと言った。


「いい、よ?…ふ、…藤宮くんがそうしたいなら…。」


「え。」


「だって…う、埋め合わせ、だし。…今もまた、助けてもらったし、ちゃんと藤宮くんの期待に添わなきゃ、意味ないから…。」


「期待って、ちょ、…冗談言うなよ。」


焦って慌ててその台詞を言ったのは、哉汰の方。


「おかしいだろそれ!」


と自分で振っといてなぜか憤慨しだす哉汰を、柚はおろおろ見上げた。


「ぇ?な、なにが?」


「何がって。あのな;状況考えてみろよ。…なんでそう、いつも俺の言うこと真に受けるんだよ。」


ムスッとなった哉汰にぺしっと後頭部を軽くはたかれても柚子はまだハテナ顏。





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