わかれあげまん
黒い思惑
「あれ。珍しいね。ルチアが轆轤(ろくろ)回してるよ」
講義棟から陶芸棟の制作室に戻ってきた学生たちが、部屋の隅を見ながら目を丸くし口々に言った。
長い美髪を頭頂部で団子に束ね、ルチアは台座にまたがるように腰掛けたまま、無言で轆轤成形をしていた。
***
カナタは誠実で、誰にでも優しいし親切なオトコ。
今までだって同じ専攻の女の子と二人で研修に出たり、親しげに話していても何も感じたりなんかしなかった。
彼はちゃんとわきまえてた。
私を掛けがえないただ一人のパートナーとして認めていた、はず。
だったのに・・・。
さっきのアレは…なに?