わかれあげまん
「そう。君らも知ってのとおり渡良瀬君は4月からVDのマスターコースに進学するだろう?これはそのための前研修でね。なので、」
穏やかに説明する教授のその先の言葉を取って代わるように、渡良瀬が不敵な声で言った。
「君たち一回生の最後の進級制作、俺が世話することになったから。よろしくな。」
哉汰は微かに目を細める。
「それぞれの課題コンセプトは聞いてるから、あとの細かい進め方を、個々で渡良瀬君に相談するようにな。…来月の学年末合評会、楽しみにしているよ。」
主任教授は終始にこやかにそれを伝え、それじゃあね、と部屋を後にした。
「……ってなワケで。みんな気合入れて制作に励めよ。…」
ニヤリと楽しそうに笑って一同を見回した後、最後に再び哉汰に視線を絡ませながら。
「・・・立場、理解できた?藤宮。」
と言い放った。
悔しげに更に瞳を絞った哉汰の肩を渡良瀬はポンと小突いて。
「次からは態度に気をつけた方がいいぜ。じゃな。」
クックっと喉を鳴らし、そして彼も部屋を出て行った。