わかれあげまん
「うわー。なんだありゃ。きいてねーって~。哉汰お前知ってたの?」
ルームメイトがガシガシ頭を掻きながら悲愴な声で尋ねてきた。
「いや。」
「先月までは留年ヤバイ!とか言ってた人がさ、すっかり教授気取りじゃん。やっぱアレ、あげまん柚ちゃんの御利益ってやつなの?あーあ。いいよなあ。」
「…」
「ってか。…大丈夫か?哉汰。何か今渡良瀬さんに意味深なこと言われてなかった?しかも顔、死んでるぞ?」
ほっとけよ。と不機嫌に仲間に返し、哉汰はドサリと自席のドラフターの前に腰を下ろし、短く溜息をついた。
なるほどな。
“後悔する”ってのはこの事か。
フ。
誰がするかっての。
心ではそう果敢に嘲笑いつつも、これを切欠にまた、柚にとってよからぬ展開になりはしないかと、そっちの方が気がかりでならなかった。