わかれあげまん
夜の高速を飛ばしながら、哉汰は新しい胸ポケットから煙草を一本取り出した。
駐車場を出てからもう10本目だ。
いつもより格段に喫煙ペースが早いのが誰のせいかはもう分かり切ったこと。
『いいから兎に角急いで帰って来い、大事な話なんだ。…飛ばせば一時間で着くだろう。』
哉汰の神経を逆撫でるような笑み含んだ声。
所詮お前は俺の息子。
自分に敵うはずないのだと電話越しにさえ伝わる、悠然としたその、声。
…クソ親父。
心の中で悪態を吐きながら、哉汰は勢いよくアクセルを踏み込んだ。