わかれあげまん



愕然と目を剥く哉汰に、ルチアは愛らしく肩を竦めエヘヘと笑った。



「…黙っててゴメンナサイ…カナタ。」



「…は?」



えもいわれない不快感が身体の奥底から這い上がってくるのを感じ、哉汰は目を細めた。





「ルゥね、日本には交換留学で来たんじゃないの。…大学とパパとの秘密の」



「ルチア!シー」


おしゃべりなルチアを静司が慌ててそう遮った。



「…。」



静司は哉汰とは違う銘柄の煙草をシャツのポケットから取り出し、火をつけた。


「フランコと俺はお前が赤ん坊の頃からの…20年来の友人だ。あっちで幾つも共同プロジェクトをこなしたんだぞ。ヤツは俺の腕を買ってくれてな。5年位前だったか、息子であるお前の話をしたら、俺の血を引いたお前のことをぜひとも事務所に引き入れたいと言ってくれたんだ。」


「!」


「ところがだ。」






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