わかれあげまん
時刻は23時を回った。
車の数も随分と減った国道を、哉汰は無言のままドライブした。
隣のルチアも沈黙したまま項垂れ、時折鼻を啜るだけだった。
やがて車はルチアの下宿の駐車場に滑り込み、停まった。
「……。」
エンジンをアイドリングに、黙りこくる哉汰は厳しい瞳でフロントガラスを見据えたままだった。
「…カナタ。」
消え入りそうな声でルチアが言った。
「おねがい…おこんないで、…ゆるして。…ルゥ、カナタが許してくれるなら、なんでもする。いくらでも謝る!…だからお願い!フィレンツェで、パパに会って!」