わかれあげまん
「もしかしたら、…お父さんへの反骨心かなって…。」
しかし答えてしまってから柚はすぐ、“しまった”と思った。
あたしったら!ばか!
ただの憶測なのに、こんな事所長に言っちゃって…
後悔にたじろぎ、ギュッと唇を噛み締めていると。
「どうしてそんな風に思うの?」
驚きを声に含ませ案の定そう聞き返され、ああ;と柚は項垂れた。
「いえ、あの…その、…」
言いよどんでいると。
「へえ。星崎ちゃん、やっぱ藤宮くんのことよく見てるなあ。…僕は鈍いから、さっぱりだよ」
「えっ;あの、よく見てるとか、てより、…あたしも、ちょっと自分の家族にコンプレックスあるから、…似たような空気を感じたっていうか…」
「・・・そうなの!?」
所長はさっきよりももっと驚嘆を込めた声で言って、柚を覗き込んできた。