わかれあげまん
やがて、下界の街明かりに微かに浮かび上がってくるその小さな体がとことこと近づき、茫然と突っ立っている哉汰の前に立つ。
青白くぼうっと光を放つ顔が彼を見上げ、そして白い息をふわっと吐き出すと花の様に朗らかに微笑んだ。
「…やっぱ、ここに居たんだ。よかった」
「…何で分かった?」
尋ねる声がありえなく狼狽していて、哉汰は内心自分でも驚いたが。
「…うしろで虫の声がしたし、藤宮くん、泣いてたし。きっとここだって思ったの…だからタクシーに飛び乗ったんだけど、よく考えたらあたし、前にここ連れてきてもらった時、ろくろく道を覚えてなくって。…」
自分のここにいたるまでの動向を思ってか、柚はクスクスと笑ってからまた続けた。
「だから、タクシーの運転手さんに聞いちゃった。ここいらへんで、街を一望できる小高い山知りませんか?って。で、ナビで調べてもらって…」
「馬鹿じゃねえの!?」
頓狂な声でそう叫ぶ哉汰に、柚は目を丸くした。