わかれあげまん



掠れるように弱い声で呟いたかと思うと。



次にはもう哉汰の腕は目の前にいる柚を掻き抱いていた。






晩秋の夜露に冷え切ったお互いの身体が、優しい温度を分け合うのを感じた。



「…馬鹿。」



また哉汰がそう小さく呟いた。



ドキドキと早鐘を打つ心臓に少しめまいを覚えたが、それでも柚は優しく哉汰の背中に細い腕を回し、力をこめてギュッと抱きしめ返した。



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