わかれあげまん
「ふ、藤宮くん!具合悪いの!?」
柚は眉を顰め、右の掌で柔かそうな彼の茶色の前髪の下へと潜り込ませ、そして愕然となった。
「…うわ!熱!…熱あるよ!?」
それも尋常じゃない熱さだ。
「ね、車とめよ?」
「大丈夫だって。…ホラ。もうそこの角曲がれば、あんたの下宿だから。」
弱く微笑んだ顔も、酷く苦しそうだった。
「…っ藤宮くん、…」
柚は下ろした掌をギュッと握りしめ、唇を噛んた。
そして車は柚の下宿の袂の歩道沿いにそろりと停められた。
「……」
ハ、と苦しげに息をつき、哉汰は項垂れたままハンドルに額をつけた。
「藤宮くん、…藤宮くん、大丈夫?」
「…。」
のろのろと顔を上げた哉汰の瞳は、みた事もないほどに濁って虚ろだった。
だめだ。
こんな状態のまま、藤宮くんを帰すわけには行かない。