わかれあげまん
「昨夜さ。店来てたぞ?ルチアちゃん。」
啓祐の言葉に美也子は眉を持ち上げてから、不快そうにそれを顰めた。
「またフットサル野郎といちゃつきに?」
「いや、それがさ。二人で激しく言い争っててさ。回りの選手たちが入ってきて、何とか収まった感じ?みたいなさ」
ふーん。と美也子は目を丸くした。
「藤宮クンとの浮気がばれたのかな。彼氏に。…っていうか、フットサル野郎の方が浮気だったりするのかもね〜。」
「後で彼らの仲間うちの一人が話してたけど、彼女が一方的に別れを切り出したそうだよ。なかなかやるね、彼女」
面白そうに言う啓祐に浮かない顔で生返事を返しながら、美也子はホットサンドを一口頬張る。
もしホントにあの娘が二股やめて、藤宮くん一人に絞ったってなら、褒められるべきなんだろうけど。
なんかな。
柚にとっては、あまり喜ばしくない展開、っていうか。…
そういえばあれ以来、柚から話聞いてないな。
今日あたり、ちょっと話してみようか。
美也子は密やかにそう思い巡らせた。