わかれあげまん



「昨夜さ。店来てたぞ?ルチアちゃん。」


啓祐の言葉に美也子は眉を持ち上げてから、不快そうにそれを顰めた。


「またフットサル野郎といちゃつきに?」


「いや、それがさ。二人で激しく言い争っててさ。回りの選手たちが入ってきて、何とか収まった感じ?みたいなさ」


ふーん。と美也子は目を丸くした。


「藤宮クンとの浮気がばれたのかな。彼氏に。…っていうか、フットサル野郎の方が浮気だったりするのかもね〜。」


「後で彼らの仲間うちの一人が話してたけど、彼女が一方的に別れを切り出したそうだよ。なかなかやるね、彼女」


面白そうに言う啓祐に浮かない顔で生返事を返しながら、美也子はホットサンドを一口頬張る。


もしホントにあの娘が二股やめて、藤宮くん一人に絞ったってなら、褒められるべきなんだろうけど。



なんかな。


柚にとっては、あまり喜ばしくない展開、っていうか。…



そういえばあれ以来、柚から話聞いてないな。


今日あたり、ちょっと話してみようか。



美也子は密やかにそう思い巡らせた。







< 290 / 383 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop