わかれあげまん
* * *
カーテンの隙間からチラチラと揺れる白い陽光に刺激された瞼を、哉汰はゆっくり押し上げた。
そのまま暫くぼんやりと仰臥していたが、やがて横たわっているその場所が自分のベッドではないことに気付くのに、そうは時間を要しなかった。
慌ててガバッと上半身を起こした時、鈍く重い頭痛が襲った。
「っツぅ!」
額を抑え、苦痛に顔を歪めながらも、
哉汰は更に情報収集に意識を傾けた。
ベッドには自分一人きり。
そっと後ろを振り返ると、すっかり冷感を失ったアイス枕が置かれていた。
右側にある白い小さな座卓上に、これまた少しサイズの小さな土鍋。
哉汰は見開いた目を部屋中に配り、柚の気配を探した。
静まり返った室内は、冴えた朝の空気に満たされ、哉汰は既に柚がここにはいない事を理解した。
未だたなびく頭痛に、眉間に皺を寄せたまま溜息を落とし、ごそりとベッドから抜け出した。
「!」
ひやりとした空気が哉汰の露わな上半身を触れてゆき、布団の脇からボソリと、着ていたチャコールグレーのカットソーが床へ落ちた。