わかれあげまん
* * *
深夜1時。
おどおどと怯えるように辺りに視線を配りながら、柚はジャケットのポケットから鍵を取り出した。
っていうか、…
自分の部屋に戻るだけなのに、何びくついてるんだろ、あたし…
情けなくてひとり苦笑いをしながら、柚はドアの鍵穴にキーを差し込んだ。
できるだけ音をたてないようにそっと開錠し、扉を開けた。
部屋の中は当然真っ暗。
続いて柚はドアポストの投函口から、内側の当たりの床に目を配った。
「あれ…、ない。」
きょときょとと靴脱ぎ場を見るが、哉汰が施錠し放り込んでくれたはずの部屋の合鍵が見当たらない。
ん?
言い知れない予感に、柚はゆっくりと視線を持ち上げ、暗い部屋の奥へと投げた。
目を細め、こわごわ部屋の電気をオンにする。