わかれあげまん
ぱっと照らされた部屋のテーブルの前に、悠然と胡坐をかいている人物に柚はおおげさじゃなくぎゃあっと悲鳴を上げた。
「…しっ!何時だと思ってんだよばか!」
哉汰が早口に言い、目を眇め自分の口に人差し指をたてた。
あわてて自分の口を両手でふさぎながら、柚はドングリ眼で哉汰を愕然と見やった。
そして一息つき心を落ち着かせてから。
何かいけないものを見てしまったかのようにゆっくりと踵を返し、なぜか再び部屋を出ようとする柚に、
「ちょっ、待てって!」
慌てて立ち上がった哉汰が駆け寄りその肩をつかんだ。
「!」
ぴくんと跳ね上がった小さな体に。
ずくんと痛む、カナタの胸。
「……頼むから行かないでくれ。」
やっとどうにかその一言を掠れた情けない声で呟いた哉汰。
柚はドアの向こう側に顔を向けているからどんな表情なのかはわからないが、耳朶が真っ赤に染まっていた。
謝る?
いや、このタイミングじゃそれも違う気がする…
とにかく…
「…ちゃんと話したいから、…待ってたんだ。」
それを聞いた柚はか細く溜息を吐くと、俯いたままかすかにうなずいた。