わかれあげまん
危 機
* * *
「柚!」
早朝のピロティをゆっくりとした足取りで行こうとする柚の姿を、美也子が捉えそう呼びかけた。
ピクリと怯えるように肩を揺らし、振り返るまではいつもと同じ。
「……」
「……!?」
柚までの距離はまだ十数メートルあったが、それでもその顔色の悪さに気づくには十分だった。
「ちょっ、何よ…」
美也子は眉を顰め駆け寄ると。
「お化けみたいな顔色して…久々捕まえたと思ったら、どうしたのよ」
「ん~ん。大丈夫、なんでもないよ、みや…」
へろっと覇気のない顔でそう笑った柚はその場にへたり込んでしまった。
「あっ!ちょっと柚!全然大丈夫じゃないじゃない!ほら、つかまって!とりあえずこっち…」
美也子は柚を抱きかかえるように助け起こすと、談話室にあるソファへといざなった。