わかれあげまん


* * *



ガチャリとVD1のドアを開け登場した哉汰を、居合わせたルームメイトが一斉に振り仰いだ。


「お!哉汰お前、やっと来たか〜」


「ここ2日、いろんな面子がお前訪ねて来たんだぜ?…何お前、風邪ひいたの?」


ダウンジャケットにマフラーを巻き、白いマスクで口を覆った哉汰は、


「ああ」


と酷い鼻声で答えた。


「まあ体調不良なら、制作室来れなかったのも仕方ないか。…でも、だったらそれ早く教授陣に伝えに行った方がいいぜ?」


「?」


ルームメイトの言葉に訝しげに目を細めながら哉汰はゆっくりと自分のデスクに歩み寄り、席についた。


「このままじゃお前、留年だって篠田教授陣が顔顰めてたぞ?」


「……は?」


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