わかれあげまん
「俺を留年させたいんですか?“渡良瀬先生”。」
わざと片端の口角を持ち上げ哉汰が言うと、渡良瀬は狡猾そうな目を細め、
「っていうかむしろさ~。この学校から立ち去ってほしいんだよね。君に。」
「……。」
眉を顰めながら視線を外し廊下の窓の方へと向け、渡良瀬は続けた。
「俺と柚との間を邪魔するようなクソは置いとけないんだよ。…だから覚悟しておいてね?」
「フ。そんな安っぽい手で俺を退学にできると思ってんの?」
嘲るようにくつくつと笑いながら哉汰が言うと、渡良瀬はまたとぼけて腕組みをしながら、
「だよな~。いくら何でも大学の連中もそこまでアホじゃないし。…だから、仕込みはこれくらいにしておいて、もっと別の方法を考えることにしたよ。…」
「!?」
「もっと簡単で、…しかももっと効果てきめんなやりかたでな。」