わかれあげまん
でも、…とまた戸惑いに頬を染め苦しげに見上げた柚に、哉汰は思いがけない言葉を続ける。
「あんたが心配でたまらない」
「・・・」
そうだった。
凄く慌てて油画部屋まであたしを迎えに来た藤宮くん。
逃げるようにしてここに連れて来た要因が、『渡良瀬先輩』だということは分かったのだけれど。
「…藤宮くん。…どうしてそんなに、あたしのことが心配なの?渡良瀬先輩に何を言われたの?」
哉汰は苦々しい表情のままじっと遠くを見据え、しばらく何かを考えているようだった。
それから。
「今は親父やルゥの事なんかより、ずっと・・・」
哉汰は苦しげに言葉を途切れさせ、切なく柚を見つめた。
俺の所為なんかであんたが、あいつに何かされでもしたら…