わかれあげまん



「やっぱ帰さないって決めた。」



「藤宮くん…」



「大丈夫。何もしないって誓うから…。」



この上ない柔らかで綺麗な微笑を柚に向け、ごろりと横に身体を倒して。



再び引き寄せられた腕の中は、どんな場所よりも幸福を約束してくれているような気がして、柚も甘く溜息を落とした。



「…うん。」



柚も柔らかな微笑みを哉汰に返し、自らその腕の上に頭を寄せた。



「おやすみ。…」





ありがとう。



藤宮くん。




大好きだよ。





心の中でそっと呟き、柚は安らかな気持ちで久方ぶりに深く心地よい眠りに落ちて行った。




< 334 / 383 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop