わかれあげまん


腕の中にあった暖を失い寒さを感じたのか、哉汰がブランケットの中で身体を僅かに屈めた。


(ごめんね。藤宮くん。…帰るね。)


いつまでもここにいれば、またあなたに迷惑かけちゃうことになるから。




柚は名残惜しそうに柔らかなアッシュブラウンの髪に触れ、立ち上がった。



薄暗がりの中、玄関でそろりと靴を履き、哉汰が目を覚まさないよう慎重にドアを開け、外へと出て行った。


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