わかれあげまん
「ごめんな~?柚…俺だってこんな手を使うのは不本意なんだぜ?でもキミ、聞く耳持ってくれないから…」
腕の中でぐったりと身体を投げ出した柚に、渡良瀬は嘲笑を含ませながら言った。
「さあ。んじゃ、俺の部屋でじっくり話そうぜ?」
そのまま渡良瀬は小さな柚の身体をふわりと抱き上げ、今来たロビーを後にした。
* * *
んん・・・・。
持ち上げかけた瞼にまぶしい光が飛び込み、柚は思わずギュッと目を閉じた。
何かをいぶすような怪しい香りが充満していて、思わずうっとむせかけながら、柚はそれでも今度はしっかりと目を開けた。
目に飛び込んできたのは、白い天井。
どうやら自分の身体は仰向けに寝かされているらしかった。