わかれあげまん
「これはね。キミと、藤宮哉汰へのお仕置きだよ。・・・ああ、でも」
渡良瀬は少し眉根を寄せ柚の耳に唇を寄せ、囁き声で続けた。
「あいつ…藤宮には、お仕置きなんて生易しいもんじゃなくなっちゃうかもなあ。」
「…!?」
「もっともっと、…一生立ち直れないくらいズタズタに、傷つけちゃうかもなあ、俺…」
カッとこみ上げた怒りに任せて、柚は叫んだ。
「ふ、藤宮くんに何するつもり!?何をたくらんでるの!?」
「…口のきき方に気をつけた方がいいよ?柚。あいつはもう崖っぷちに立ってるも同然なんだからさあ。」
息を吹きかけながら囁いた渡良瀬はそのまま、柚の耳稜を軽く噛んだ。
「っ…!!…」
ピクリと身体を跳ね上げた柚を、渡良瀬は辱めるようにくすくすと笑った。
「へえ。今のだけでも感じちゃった?…このお香、媚薬効果あるからなあ。」
さっきから部屋に充満しているこの怪しい煙は、…媚薬なの!?
「キミはただでさえ感じやすいからなあ。どんなに乱れてくれるのかすっげー楽しみ」
「いやっ!」
指で顎を掬われそうになり、柚は必死に顔を背けた。
「いいの?柚が抵抗するなら俺、本っ当に藤宮を追い出しちゃうよ?」
「追い…出す?・・・どういうこと?」
柚は再び渡良瀬の方を向き、恐怖に声を震わせながらもそう問うた。