わかれあげまん
そしてすぐに、飛び退くようにしてベッドを降りた。
柚が目を細めそろりと頭をもたげ声の方を見やっているとやがて、玄関の方からつかつかと入ってきたのは。
背中まで伸ばした艶やかな栗色の巻き髪をした、自分と同じ位の歳のとてつもない美女だった。
鮮やかな真紅のルージュを引いた唇を真一文字に結んだまま、あられもない姿でベッドに拘束されている柚を大きな瞳でキッと見据え、それから脇に佇む渡良瀬へと視線を移すと、声を震わせた。
「何なの、これ…」
「……え、あ、」
口ごもる渡良瀬は見たこともない程狼狽していた。
「何なのって聞いてんのよ!和史!!」
「いや、その…ってか何で来たんだよ、優香」
「はあ!?いつ来ようがあたしの勝手でしょ!?あたしはあんたの彼女なんだから!っていうかさっさと説明しなさいよ、この状況を」
渡良瀬に優香と呼ばれたその美女はつかつかと彼に詰め寄り襟首を掴んで物凄い形相で睨みつけた。