わかれあげまん


「いや、その…」


動揺に激しく目を泳がせ口ごもる渡良瀬。


柚は一瞬だけ祈るように目を閉じ息を吸い込んでから。


「お願い、…先輩を止めて!無理矢理ここに連れ込まれたの。乱暴するとこ、撮影するって…」


渡良瀬の喉を押さえつけたまま、優香と呼ばれた美女は再び愕然と柚を見やった。


お願い。


信じて。


そう懸命に縋る柚の瞳に、優香にもそれが真実だと伝わり始める。


「何なの!?何してんのよあんた!アタマおかしいんじゃないの!?犯罪じゃないのよこれ!!」


「ち、違うって優…」


「触らないで!」


伸ばしかけた渡良瀬の手を、優香はバシンと払いのけた。


「人が借りてやった部屋で…なにしてくれてんのよ!…ちょっと!!どこいくのよ!」


激昂に半狂乱になってがなってる優香の隙をついて逃げ出そうとしたルチアの腕を、優香は追いすがり捉えた。


「ちょっ、…ワタラセ、こんなの話が違うよ!!」


青ざめた恐怖に怯えたような表情でルチアが叫んだ。



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