わかれあげまん




さらさらとしたくせのない栗色の髪の下の優麗な瞳。



まっすぐあたしを捉えてそして、「大切な人」だと言ってくれた。



藤宮くん。



あなただってあたしの、“大切な人”だよ。


あなたの未来を守りたいの。


どうか、

この先のあなたの人生が、報われるものになりますよう…




「渡良瀬先輩。…あなたが自分の成功の為にあたしを利用しようとしたことは、もういいんです。…だけど、藤宮くんを大学から追い出そうとしたこと…ルチアちゃんと結託してまで、陥れようとしたことを…」



言いながら静かにルチアを見ると、彼女はうずくまったまま青白い顔でぶるぶると震えた。



「あたしは、許すことができない」



「だから、今から大学に全部話しに行きます…彼女さんと…優香さんと一緒に。」



「…」



静かな柚の告白は渡良瀬の耳にも届いているだろうが、もはや彼は正気さえ失ってしまったように呆然と座りこけていた。



「いいのね?話せば大学側にあんたの名前も顔も知れ渡っちゃうわよ。…ま、だとしてもあたしは黙ってるつもりはないけど」



きっぱりと言ってのける優香にも、柚は微笑みゆっくりとうなずいた。





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