わかれあげまん
「何だって!?」
「…。追い詰めたのは俺なんだ…」
ゆらりと立ち上がった高戸が、長身の哉汰の両肩を掴んだ。
「それどういう意味だよ!?君のせいで星崎ちゃんは大学を追われたってことか!?」
哉汰はさらに苦しげに眼を細め唇を噛むと、掠れた声で答えた。
「俺のせいで…そうなったも同然なんです」
「バカ野郎!なんで守ってやらなかったんだよ!」
哉汰の肩を揺すりながららしくなく声を荒げた所長の姿に、背後にいた女性事務員たちが驚き振り向いた。
やがて高戸は哉汰の襟から手を外し、自身を落ち着かせるように深くため息をついてから、声を潜めるように続けた。
「なあ藤宮くん。君は気付いてないのか?星崎ちゃんはな。ずっと前から君のことを」
「分かってます!」
皆までを聞き届けなくても、もう哉汰には分かっていた。
「だからこそ俺…連れ戻さなきゃならないんです、彼女を。…自分の蒔いた種ぐらい自分に拾わせてください!」