わかれあげまん
それから柚は、滑らかな哉汰の胸に耳を当て、力強い鼓動を聞いていた。
「これでもうお互い、言い逃れはできないな。」
嗜めるような哉汰の台詞なのに、穏やかで酷く色っぽくて、甘い。
焦りと共にどうしようもなく切ない幸福感が柚の心身を浸して行く。
ひくっ。
と小さくしゃくりあげた柚の髪に、哉汰は仰臥したまま優しく指を通した。
引き寄せたこめかみにキスを落とし、そして。
「もう俺を守ろうなんて、考える必要ない。…だから約束して、柚。」
「…」
「絶対俺の前から消えたりしないって。」
「かな、た、く…」
ふぇぇ、と子供のように咽びながら、柚は小さな身体にきゅっと力を込め、哉汰の身体を抱き締めた。
「ずっといてくれ。…俺の隣に」
髪を撫でながら哉汰は、低く響く声でそう、彼女の耳に囁いた。