わかれあげまん
エピローグ
* * *
「いやーホント、一時はどうなるかと思ったけど。よかったじゃん、柚。退学せずに済んで。」
「うん。」
一時間目の講義を終えたゼミ室で教科書をトントンと揃えながら、柚は頷き美也子にニコリと笑顔を向けた。
「あたしがお姉ちゃんとこに向かってる時既に、藤宮くんが総務課に行ってくれてね。出してた退学届、取り下げてもらってくれてたんだ。」
あ~あ~。
と美也子は眉根を寄せ。
「ホントあんたは。周りに心配かけて。普段は臆病なくせに変なとこで大胆なんだからさ~。」
「ごめん、…美也子」
申し訳なさそうにしゅんとなる柚の頭を、美也子は教科書でパフッと軽く叩いた。
「ま、でも、あんたのそういう危なっかしいとこが、藤宮クンにはたまんなく愛しいってことなんじゃない?きっと。」
「愛しいって…ちょ、美也子、…はずかしいよ」
提げた眉をもっとしかめておたおたという柚を美也子はクスリと笑った。