わかれあげまん
「ねえ、それより聞いた?柚」
「え?」
「退学した渡良瀬の代わりに候補に挙がった、VD助手の話。」
「VD助手…?」
あ、…そっか。
今回の事で渡良瀬先輩が大学辞めさせられちゃったから、代わりの助手がいるってことか。
柚は顎に指を当て首をかしげた。
「誰だと思う?候補。」
え?と柚は困惑顔のまま首を横に振る。
「全然わかんない。」
「藤宮クンだってさ。総務課の掲示板に貼り出されてた。」
「…って、ええ!?うそー!!だって藤宮くんまだ一回生だよ?」
驚きに目を見開きついそう叫んだ柚のすぐ背後で。
「悪かったな。まだ一回生で。」
不機嫌そうな低い声に、柚はぴぎゃっと悲鳴を上げ飛び跳ねた。
クスクス笑っている美也子を尻目に慌てて振り向くと、そこには哉汰がぬっと立っていた。