わかれあげまん
哉汰と柚は同時にドアを開け、車外に出た。
ナ、何か変な感じ。
と柚は佇まいを正し、軽く咳払いをして、ボンネットの方へ出てきた哉汰を見上げて。
「……」
『昨日はすいませんでした』
『ここでバイト始めるの?』
掛ける言葉は色々あるはずなのだが、何だかどれもしっくりこない気がして、結局黙りこくる柚。
すると。
「……」
じっと柚を見ていた男前な哉汰の唇がゆるく弧を描き、尋ねてきた。
「で、もう大丈夫?」
「へ?」
「二日酔い」
げっ!
と柚は大袈裟目に眉毛を曲げて、
「あ、はい、だ、大丈夫ですよ……!?いくらあたしでも三日酔いはないですから!!」
といささか憤慨するように鼻息荒く答えてしまった。
ぷ。と軽く吹いてから、
「あそ。ならよかった」
と涼しく答え、哉汰は平然と歩き出し、あっ、と柚も慌ててその後ろを歩き出した。