わかれあげまん



なんていうか、

ここには初めて足を踏み入れたんだろうに。


やっぱやたら、落ち着き払ってるなあ、この人。

などと思いながら、

初めまして、と玄関ホールで高戸所長とにこやかに挨拶を交わしている哉汰の横顔を、脇に立ったまま柚はまた、アホみたいにボーっと見ていた。


「で、星崎ちゃん。おんなじ大学だし二人はやっぱ知り合いだったワケ?」


柚と哉汰を見比べながら所長が穏やかに尋ねてきた。


「えっ?」


し、知り合いっていうか、

知り合ったばっかり?


いやでも、知り合いっていうほどじゃないか……


とまたしてもまごついてると。
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