わかれあげまん
「あ…あ……。痛い……」
「当たり前だ。大火傷してる」
ぶつっとそう呟きながら深刻そうに眉間に皺を寄せた哉汰が、見てみろ、と頭を傅き、柚は自分の左手を見て、
「びょえ~~~!」
っと妙な悲鳴を上げた。
流水にあたっている手の甲の皮が、べろりと無残にめくれてしまっていた。
「うわ!ちょ、酷いじゃないかソレ!ヤバイな。どうしようか」
おたおたと慌てている所長に哉汰は、
「俺今から彼女病院に連れて行きますよ。これで面談終わりですよね?」
と至極冷静に言った。
「そ、そうだね。キミ車で来てくれてるし、……星崎ちゃんも今日の仕事終わってるから、悪いけどそうしてもらえるかい?藤宮君」
分かりました、と哉汰は頷き、それから初対面な所長に対しててきぱきと指示を出した。
「所長、氷ってあります?」
「氷?あ、ああモチロンあるよ?そこの冷凍庫に……」
「よかった。じゃビニール袋に少し入れて、縛ってください。…あと綺麗なタオルも一枚。」
「あ、ああ、了解」