わかれあげまん
「…病院連れてくって言っちまった以上、このまま学内に居る訳には行かないよな。」
「あ。…そ、そっか・・・」
思案顔で空を見てから、哉汰はごそごそとジーパンの後ろポケットを探り、車のキーを取り出した。
「軽くドライブでも行きますか。先輩。」
「そ、そんな、わ、悪いですから…あたしは下宿に帰ればいいだけの話だし…藤宮くんは…」
「…」
「……」
「………」
自分が下宿に帰っただけでは取り繕うことにはならないと悟った柚は、どへっとまた溜息をつき、心底申し訳なさそうに小声で
「ほんとすいません…」
と謝った。
「別に。乗りかかった船」
哉汰は涼しく答え、ホールの押し扉を開けて柚を促した。