わかれあげまん



運転中のため一瞬だったが、やっと柚の方を面と向かって見た哉汰の表情は明らかに呆れ果てていた。


は。


と短く息をついてから。



「ずいぶんな言い草だな。…助け出してやったのに。」


声を尖らせ言われ、柚はやっと自分の無礼な発言に気づいた。


「…失礼な事言ってごめんなさい。…でもずっと、…これまでずっとそうだったから。最初はそんなつもりじゃなくても、…あたしに近づいてきた男の子はみんな、そうなっちゃう。」



彼らはみんないつしか、

思わぬ栄光を手にしてそして、

あたしの前から、いなくなっちゃう。



ずっと、そうだったから。


「そういう、運命なんだもん。…あたし。」



うなだれて、感情を押し殺した声で柚は言った。

つきあがる痛みが喉の奥から押しあがってきて、ポロリと一粒、涙をこぼれさせた。



しかし、そんなネガティヴモード全開の柚に哉汰が浴びせた言葉は。


「…思い上がりもほどほどにしときな。」


「…!?」


「自分に近づいた男はみんなそうなる?そういう運命だ?あんた男を馬鹿にしてんの?」


「ちがっ…」


「別れあげまんだかなんだかしらねーけど、自分で自分を貶めて何が面白いの?」


辛辣な言葉を淡々と浴びせてくる哉汰を、柚は呆然と見上げた。



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