わかれあげまん
渡良瀬はまたあの悪魔的微笑みをたたえながら甘い声で、
「ありがとな!あげまん柚ちゃん♪」
と、柚の耳にこぼした。
ああ……やっぱり。
あたしまた、『結果』を出してしまった。
先輩はあたしのカラダ目当てだったんだ。
博士課程への進学を賭けて、あたしと寝ただけだったんだ。
絶望感が、ひたひたと柚の心の淵を押しあがってくる。
と。
「おめでとうございます渡良瀬先輩!……ちょっといいですか?」
美也子が凛とした声で言って立ち上がり、長身の渡良瀬の前にすっくと立ちはだかった。