キミがいた夏~最後の約束~
両肩に強い力を感じた
朦朧とする瞳に薄っすら写し出されたのは、私の両肩を掴んでキレイな顔を歪ませている橘先輩の姿
「誰にやられたんだよ!!!」
私はそれに何も答えない
答えられない
「誰にやられたか言え!!」
橘先輩の私を掴んでいる手が少し震えているから
それを感じただけで胸が締め付けられるように痛い
「その顔も!誰に殴られてんだよ!!」
「渚!!」
たしなめるような都さんの声
「今はそんなこと言ってる場合じゃないの!とにかく着替えさせなきゃ…」
その言葉を聞いた橘先輩は私の肩を握っていた手の力を抜く
「とにかくここから出ていって!章吾も!」
慌ただしく動く音が再び聞こえる
私はそのまま意識を手放していた
落ちる
深い深い意識の闇に