キミがいた夏~最後の約束~



━━━━チチチチッッ……‥‥

チチチッッ━━…‥チチ…‥

━━━………‥‥



眩しい陽射しに照らされて瞼を少し開ける


見覚えのない天井に見覚えのない窓


そこから覗く外の世界は、昨日の嵐が嘘のように一面晴れ渡っている



どれぐらい眠ったんだろう


やけに頭がすっきりしている



フカフカの布団…
誰かに包まれているような安心感…


これのお陰でよく眠れたようだ



「起きたか…」



そう言って遠慮がちに顔を除き込む人


彼は反対にまったく眠れなかったような顔をしている



「橘…先輩……」


驚くほど掠れている自分の声


それに気づいた橘先輩が机に置いてあったミネラルウォーターを手にして私に近づいてきた



「飲む?」


「うん…あ…りがとう…」



橘先輩はその言葉を聞いて薄く微笑むと、私を背中から抱き起こしてくれた



「あ…おいしい…」



ミネラルウォーターを一口飲むと、乾いた喉を潤す水に私は思わず笑顔をこぼしていた



「どれぐらい寝てた?」


「昨日の夕方ぐらいから今までずっと」


少し辺りを見回すとクリーム色の壁に掛けてある時計を見つけた


「もうお昼…寝すぎちゃったな…」


ずっとついててくれたの?そう聞こうと思ったけれど彼の顔を見ればそれは愚問だった






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