キミがいた夏~最後の約束~



そんなことを考えているとお店の裏口から誰かが入ってきた


少しドキリとして顔が強ばった私と反対に
綾香はキャーっと喜んだ顔をしている


例の酒屋の彼だ


「ジュース持ってきたんだけど…」


「あ…ありがとう…じゃあここに…」



ガタンッ━━━!!


突然カウンターの方から大きな音がしたのでそちらを見ると、都さんが驚いた顔をして立ち上がっていた



「都さん…?」



立ち上がったまま難しい顔をしている都さん


私の過去の話をした時以外は、こんな真剣な表情をあまり見たことがない


いや…一度だけこんな難しい顔をしていたことがあった…


あれは…


私が思い出そうとしたのと同時に
都さんがその酒屋の彼のところまで歩いていって
そして静かに声を掛けた



「あなた…三池君?」


「え?」



彼は都さんに声を掛けられて少し戸惑っている


都さんの知り合いだろうか?



「三池ヒロヤ君でしょ?…私、覚えてない?週刊紙の記者の…」



それを聞いて彼も合点がいったようだ


冷たい瞳で静かに頷いた



「元気にしてた?妹さんも元気?」


「ああ…はい」


都さんと違って彼は抑揚のない言葉で受け答えると
仕事があるんで…っと言って足早に立ち去ろうとした


その時…



え…?



その冷たい瞳を一瞬、私に向けて再び裏口から出ていった







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